人間の持つ感情に、何一つ無駄なものはありません。
すべての感情はあなたにとって必要だから生じています。
ですので、「ポジティブシンキング」という言葉の表層だけをみて、ポジティブな感情だけを受け入れて、ネガティブな感情を無視して生きるのは、人生の半分を無駄にしてしまっていると言っても過言ではないのです。
このような考え方をしている場合、人生は一切良くなって行きません。
自分の感情の半分を受け入れず、そこから何も学んでいないわけですので、当然と言えば当然です。
すべての感情を受け入れて、そこから学んでこそ、人生はよりよくなっていくのです。
例えば、よくあるのが、「悔しい」という感情。
この感情が湧いてきたとき、無視したり隠したりしてしまうのは、あまりにももったいないのです。
悔しいという感情は、あなたが本来なりたい姿を明確にしてくれる可能性が高いからです。
「悔しい」という感情が湧いてきたときのことを、よく観察してみてください。
スポーツに興味が無い人は、一流スポーツマンの活躍を見て、悔しいとは思わないでしょう。
本に興味が無い人は、一流作家の活躍を見て、悔しいとは思わないでしょう。
お金に興味が無い人は、一流経営者や大富豪の活躍を見て、悔しいとは思わないでしょう。
テレビに興味が無い人は、一流タレントや芸能人の活躍を見て、悔しいとは思わないでしょう。
そうなんです。
悔しいという感情が湧いてきたとき、本来、あなたはその人もしくはその分野に強い興味があり、本来はそうなりたいと潜在意識では願っているのです。
悔しい感情が強ければ強いほど、強く願っているのです。
ですので、悔しいという感情を無視すると言うことは、実は、あなたが本来なりたい姿を無視していることと同意なのです。
一流の成功者に負けず嫌いな人が多いのもそのためです。
負けず嫌いの人は、絶えず、悔しい思いをしています。
しかし、その悔しさを受け入れ、本来なりたい姿を見極め、実際にそうなることで成功してきたのです。
徳川家康が、三方原の戦いで武田信玄に大敗し、そのときの苦渋の表情を肖像画に描かせ、生涯忘れないための戒めにしたことは有名ですが、家康は、悔しい気持ちを利用し、本来なりたい姿を見極め、最終的には天下人にまでなったともいえるのです。
それほどまでに、悔しいという感情は、うまく利用すると爆発的なモチベーションに変えられるのです。
家康は、悔しい感情を極めて効果的かつ適切に利用して、なりたい自分になったと考えられます。
これが、悔しい気持ちのお手本的な利用方法です。
悔しいからと言って相手を蔑んだり、いつまでも悔やんでばかりいるだけでは何も変わりません。
悔しい気持ちを受け入れ、本来自分はどうなりたいかを知り、そうなるための方法を考えて行動する。
ネガティブな感情をポジティブな行動に変換するのが、真のポジティブシンキングなのです。
そして、最終的には、本来の自分がなりたい姿になるために、悔しい気持ちは存在するのです。
悔しいという感情があるからこそ、本来自分がどうなりたいかが分るのです。